大澤 公康 おおさわ きみやす
辰己 晃一 たつみ こういち
新宿 北村写真機店には、販売を統括する店長・大澤さんと、5階の Re-pro Center を率いる辰己さんがいます。小売業30年と買取歴28年。長くカメラと向き合ってきた二人に、専門店ならではの査定の眼と、お客様との向き合い方を聞きました。
入社したとき、先輩に勧められるまま、キヤノン EOS 620とシグマ 28-70mm F2.8を購入したのが最初でした。それからは車や旅行の相棒として使っていましたが、デジタルの時代になってコンパクトデジカメに移り、やがて持たなくなりました。今はカメラを持っていません。
自分の使っているカメラを、接客のときお客様に真っ先に勧めてしまったり、得意なメーカーに偏ってしまう時期があったんです。「それじゃいかんだろう」と。全てのカメラをフラットにお勧めできるよう、手放しました。
今はメーカーからデモ機を借りて撮影しています。主要メーカーのカメラ・レンズは一通り把握していますので、どのメーカーをご希望のお客様にも、特定の機種に偏ることなくご案内できます。
入社時はカメラ販売ではない新規ソフト販売部門におりまして、8年ほど経験したのちカメラのキタムラ事業部に異動になりました。ですから異動した当時は、カメラの知識がほとんどありませんでした。では何で身につけたかというと──
私の教科書はお客様でした。
ロードサイドの店には50〜60代のカメラ好きのお客様が多く来られます。撮った写真を見せながら、撮り方や機材の使い方を教えてくださるんです。それを次のお客様への接客に持っていく。その繰り返しで知識を積み上げてきました。
知識ではどうしても勝てません。だからこそ「自分ならこう撮る」という経験をお話しするようにしています。コアなお客様は、自分の撮り方を真似されることに喜びを感じる方が多い。教わった撮り方を実践して報告すると、また新しいことを教えてくださる。
逆に、ニコン好きの方にキヤノンの話をしても、それは相手のコアな関心ではありません。相手が本当に好きなものに沿って話すことが大切です。
コアだから信頼する、ではないんです。お客様を信頼して話すうちに友達のようになり、いろいろ教えてもらえる。対等な関係性ですね。
フィルムカメラやオールドレンズは、一見するとただの古い機械に見えても、製造番号や細かな仕様の違いから、そのカメラが作られた時代背景やメーカーの工夫を読み取れるのが面白いところです。同じモデルでも、時代によって部品や仕上げが変わっていて、調べながら新たな発見に出会えたときは、とても面白く感じます。
また、傷やスレ、摩耗の状態からは、そのカメラが長年どのように使われてきたのかを想像できることもあります。単なるモノとしてではなく、その時代や持ち主の歴史まで感じられるところに、フィルムカメラやオールドレンズの奥深さがあります。
単なる古いモノとしてではなく、その時代や持ち主の歴史まで感じられるんです。
査定金額に関わるところでいうと、カビやくもりといったガラス内のコンディション、外観のキズやラバー部のべたつき、操作ボタンの反応、充電池や充電器といった付属品の有無を確認します。デジタルの場合は、センサーへのゴミの写り込みも見ます。そのうえで、フィルムや記録メディアを装填して、実際に動作するかどうかを確かめます。
昔は使いこなしが難しく、学んだり工夫したりする面白みはありましたが、手軽ではありませんでした。より便利に・簡単に・綺麗にを追い求めて、オートフォーカスや自動露出、自動の巻き上げ・巻き戻しへと進化し、デジタルになってからは、その場でフィルムを消費することなく手軽に仕上がりを確認でき、撮り直しの判断もできるようになりました。
今は誰でも本当に簡単に綺麗に撮れるようになり、今度は逆に、人との違いを求めてフィルムに人気が集まっています。買うのは若い世代が中心で、「他と違う、ザラザラした写真が撮れる」ことに価値を感じているようです。
「綺麗に撮れない」と思うのは、当時を知っている我々世代なんです。若い人にとってデジタルで綺麗に撮れるのは当たり前で、それは「綺麗」ではない。
ザラついた粒子や白飛びこそ新鮮で、「エモい」イコール「綺麗」なんです。
面白いのは、古いカメラを「最新のカメラ」だと思って買いに来る人もいることです。Wi-Fiが繋がると思っていたり、20年前の機種だと知らなかったり。世代によってカメラの捉え方がこれほど違うのか、と驚かされます。
おもしろいことに、真逆のお話をよくいただきます。
パトローネからフィルムを引っ張り出した状態で「何も写っていない」と持って来られた方がいました。「現像」という工程をご存じなかったんです。また、本来は専用充電器でしか充電できないカメラでも、PCへのデータ転送用のUSB端子がついているために本体で充電できると思われ、「充電できない、壊れている」と修理のお問い合わせをいただくこともあります。フリマアプリやネットオークションでは、こうしたご説明を受ける機会はなかなかありません。せっかく店舗まで足を運んでいただいたのですから、一つひとつきちんとお伝えすることも、私たちの仕事だと思っています。
専門店・新宿 北村写真機店の強み
まず品揃えの豊富さです。日本で一番と言っても過言ではないほどのアイテム数がそろい、専門店だからこそ集まる機材と、それを見極める眼がここにあります。
新宿という土地柄、海外からのお客様も多く、日本人と同じくらいの割合でご購入いただくこともあります。英語で接客できるスタッフや中国系のスタッフも在籍し、多言語で対応できる体制を整えています。
そして、専門知識を持ったスタッフの多さ。家電量販店では持ち得ないカメラ・プリントの専門知識を持つスタッフがそろい、時計のリペアやライカなど、その道の担当者に会うために来店されるお客様もいらっしゃいます。
キタムラの中古査定は全国統一の基準・6段階の中古ランクで行われています。査定基準の詳しい話は、相模原・星が丘店 中込さんのインタビュー記事で紹介しています。
大切なカメラを手放す際は、ぜひ複数の会社の査定や説明を比較してみてください。査定額だけでなく、どのような理由でその見積もりになったかも含めてご納得いただけることが大切だと思います。私たちも一台一台丁寧に確認し、安心してお任せいただける査定を心がけています。
※本記事の内容は2026年6月時点の情報です。最新の情報とは異なる場合があります。